すごく考えが深いなと思う方がいらっしゃいます。
何気ない一言でも説得力があったり、
ちょっとした気遣いが態度や言葉に表れていたり、
職業や地位などに関係なくそういう方に出会えることがあります。
会社員時代までの私は、まったく深みのない人間だったと思います。
やる気と思いだけはありましたが、考えているのは自分のことだけ。
他人への気遣いや含蓄とは、まったく無縁の人間でした。
コーチという仕事に就いたおかげで 多くの人と出会う機会をいただいています。
その中で本当に深みがある方と出会えることがあります。
そういう方に共通しているのは、 焦っていないということです。
どんなに仕事が忙しくても、どんなに大変なことがあっても、
慌てていないのです。余裕があるように見えるのです。
なぜそんなに悠然といられるのでしょうか?
「焦ることはもちろんありますよ。
ただ、そういう時こそ落ち着く自分がいます。
やるべきことに集中しているからかもしれません。」
あれもこれも気になってしまう・・・
自分がどう思われるか評価が気になる・・・
まわりの人の行動にいら立つ・・・
目先のお金が気になる・・・
損得が気になる・・・
こうした気持ちがないのです。
自分の道を信じて生きている姿に人は深みを感じるのです。
またそこには、ある共通点がありました。
それは多くを求めていないことです。
もちろんみなさん、「欲」「野心」はあります。
しかし、あれもこれもと求めるのではなく、
自分が成し遂げることに絞れているのです。
ある老舗旅館の経営者Oさんは、
「お客様にとにかくいいサービスを提供したい」という夢がありました。
そのためには、どれだけ働くことも苦になりませんでした。
またお客様に喜んでもらうためにも努力を惜しみません。
最高のサービスを提供してもらうため、
従業員にも最高の働く環境を作っていました。
その努力の甲斐もあり、日本を代表する旅館の一つに選ばれ、
従業員からも厚い信頼を得ていました。
しかし、ただ一つ、後継者のことでは悩んでいました。
1人息子に経営を引き継いでもらおうと
子供の頃から旅館の後継ぎとして厳しくしつけをしていました。
しかし、結果として、息子さんは大学を卒業して、
まったく違う職業に就いてしまったのです。
このことがショックでOさんはいつも息子さんと喧嘩になり、
ついには音信不通状態になってしまいました。
しかし、あるときOさんは、
息子さんを後継ぎにしようとしていることは
「欲張り過ぎた欲」ではないかという結論に至ったのです。
そして息子さんを後継ぎにしようとするのをきっぱりあきらめました。
そうすると、新たな展開が生まれてきたのです。
事業の展開にもよいパートナーが現れ、
念願だった「日本流のおもてなしの世界に向けた提供」を実現すべく
チャレンジされています。
また社内から後継者が育ってきたのです。
本当に社長の思いを理解してくれるパートナーが
いっしょに会社を盛り上げてくれています。
また息子さんとの関係も少しずつよくなり、
今ではお孫さんを含め、一緒に過ごす時間も増えてきました。
野心や欲は人を成長させるモチベーションになります。
一方で、どんなに立派な人でも、欲張りすぎてしまい、
迷ってしまうことがあります。
そういう時には、 自分に本当に必要なものとそうではないものを見分け、
いらないものは勇気を持って捨てる必要があるのです。
ちなみに私自身も欲が絞れてきたように思います。
「探究心」という欲は、私にとってもとても野心的で、
モチベーションをあげてくれます。
一方で、もっともっとお金を儲けたい。
自分が有名になりたい。
多くの人から称賛されたい。
パワーを持ちたい。
というような欲が湧いているときには、
表面ばかりに気をとられて、深みがなくなります。
友人などに聞いても、以前よりはどうも深みが増しているようです。
みなさんは欲を絞れていますか?