今回のメンタルトレーニングのテーマは、「心の速度です。」

皆さんは、早食いですか?それとも、ゆっくり食べるほうですか?

人によって、食べる速度はかなり違います。そして、食べる速度は実はそのまま心の速度と言えるのです。また、歩く速度も同じです。実はこの速度は、スポーツでも仕事でもとても大事なポイントになるのですが、自分では当たり前すぎて、気づかずに生きている人が多いのです。これから9つの質問をします。いくつ当てはまるかチェックしてみてください。

1.早食いだ。
2.歩くのが速い。
3.いろいろなことを急いでやろうとする。
4.ゆっくりな人や運転にイライラする。
5.効率的にやるのが好きだ。
6.待っていると、じっとできず、何かせずにはいられない。
7.早く結論が得たいので、口を挟む。
8.遅れたり、時間を無駄にしたと感じると焦る。
9.よく次のことを考えている。

5つ以上当てはまった方は、「急ぐ」傾向がかなり強いといえます。普段は、テキパキと仕事ができるといういい側面もありますが、焦ったり、緊張したり場面で、その速度はさらに早くなります。緊張した場面では、人が持っている癖は強化されるからです。

ゴルフで早打ちの人も、練習のときはいい感じでポンポン打っていても、緊張する場面や、ここ一番の場面になると、その速度はさらに早くなります。そうなると、打ち急いで浅いスイングになってしまいます。また、リズムも普段より早いので、インパクトが合わなくなり、芯で捉えるのが難しくなります。心がスイングに寄り添っていない状態です。

若手のAプロは、早食いでした。そして、プレーも基本的には早いのですが、突然慎重になったりと、心の速さが一定しておらず、それがプレーの不安定さにもつながっていました。Aプロと食事をしたとき、携帯を見ながらご飯を食べているのに気づいたので、ゆっくりと味わいながら食事をしてもらうことを提案しました。両親が共働きで1人で食事をすることが多く、寂しさから携帯が手放せないようになったのです。

そこで、「味わう」をテーマにして、Aプロのメンタルトレーニングを実施しました。そして、徐々に味わえるようになってくると、ゆったりしたペースに変わっていったのです。深くゆっくり味わう。実は、それが彼らしい本当のペースだったのです。

ゴルフでも味わいながらプレーしてもらうと、歩き方、ルーティン、スイングまでが一定した速度になっていきました。打ち急ぐという現象は、スイングや体の使い方にも原因がありますが、実はそれよりも心の速度が影響しているのです。

人によって心地よい速度は違いますが、大事なことはまずは自分らしい心の速度を知ること。そして、その速度をプレー中、極力維持することです。歩く速度を一定にするのもいいですよね。人は、結果やコースの難易度、苦手なクラブなど外部の要因によって、心の速度を乱されます。普段から自分らしい心の速度を知って、メンタルをトレーニングしておくことで、本番でもその速度を変えないことが出来るようになります。