スポーツのメンタルトレーニングをしていると、練習するほど下手になるという悩みをよく聞きます。
ゴルフでも、練習熱心なゴルファーほど、悩みが深くなる傾向があります。
技術的には向上しているはずなのに、球がつかまらなくなる。身体が動かなくなる。ヘッドが出なくなる。
では、練習しなければいいかというとそうではありません。やはり、成長するために練習は不可欠です。これは上達するためには通らなければいけない道です。
では、練習の罠に嵌まらないために、どのような点に気をつければよいのでしょうか。
練習するとき、多くの場合、何か課題があります。腰の動き、手の動き、クラブの動き、何か特定の部分を直そうとします。
何かを直そうとして、最初は上手く修正できたように感じかもしれません。これさえ修正すれば大丈夫だと安心感を覚えると、スウィングは一時安定します。
しかし、その修正は長くは続きません。一点だけ修正することで、他の部分のバランスが崩れてくるからです。
身体が日々変化するように、スウィングも日々変化します。変化する中で、何か特定のものだけを固定しようとすると、逆にスウィングは安定性を失います。
いかに不安定の中で、身体とクラブのバランスを整えていくか。そのためには、部分の修正と全体のバランスの両方を練習していく必要があります。
ちなみに、師匠である藤田一照老師の自宅にはスラックラインがあります。スラックラインとは紐の上を歩いて綱渡りするスポーツです。
藤田老師自身、長年スラックラインをされているのですが、スラックラインはまさに禅だと言われます。
私も体験してみましたが、何度やってもすぐに落ちてしまいます。
怖いので足元を見るとすぐにバランスを崩します。また身体を固定しようとするほど、不安定さは増します。いかに、遠くを見ながらフラフラする不安定さに身体を委ねられるか。言い換えれば、全身をいかに感じるかの訓練ともいえます。私も購入して練習していますが、頭で身体の動きを考えてしまう人にお勧めです。
練習で崩れた全体のバランスを回復するために、いかに忘れられた部分を意識していくか。
その一つが「肚(はら)」です。肚とは、胴回りの部分です。身体の要と言われる丹田は肚の中心にあります。肚は上半身と下半身をつなぐ連結部分と言えます。ゴルフでも上半身と下半身は重視しますが、以外にその間の存在を忘れがちです。
週刊ゴルフダイジェストに連載中のメンタルトレーニングのコラム「禅の境地へ」第155回のテーマは、「スウィングのバランスが崩れたら肚を意識しながら振ってみよう」です。
ゴルファーはクラブの動きが気になったり、肩を回そうとすると、「肚」の存在を忘れてしまいます。これだと、身体のパワーはクラブに上手く伝わらず距離も出なくなりますし、リズムも崩れるのでフェースの芯に当たらなくなります。結果として、クラブを振るのがどんどん難しくなっていくのです。
肚を意識することで、無理に肩を入れようとしなくても、自然に身体が回りやすくなります。また上半身と下半身の「間」にエネルギーが入ることで、上と下のつながりが生まれてきます。
スウィングのバランスとは、固定した安定ではありません。不安定の中に身体を委ねながら、一瞬の安定が生まれていくことです。
興味のある方は、ぜひご覧下さい。