今発売中の週刊ゴルフダイジェスト誌で、ゴルフのメンタルトレーニングについて特集されています。
ゴルフダイジェストの編集者から、「メンタルトレーニングに興味のある読者も多い。ただ、メンタルは技術に比べて目に見えないので、なかなか捉えどころがなく伝えるのが難しい。具体的にどのようなトレーニングをしているのか知りたい」というオファーをいただきました。
今回の特集のテーマは「そもそもメンタルトレーニングってなに?」です。
メンタルというのは、一言でいえば「心」です。
実は、ほとんどのゴルファーは、心がどうプレーに影響しているかに気づいていないのです。
誤解をないように申し上げると、皆さん一部分は気づいています。ただ、部分に囚われてしまい、全体が見えていないのです。また逆にその一部分へのこだわりが、壁を突破することを邪魔していたりします。
自分にとって都合のよいところだけ切り取るのが人の心です。
自分の思い込みに気づけるか。
メンタルトレーニングというと、何かの技術を使って、心を変えることと思われていくアスリートが多いです。もちろん、そういうトレーニングもあります。ただ、私自身は、「変える」ことよりも「気づく」ことがメンタルトレーニングの肝だと考えています。
気づきには、新しい目線を持つ必要があります。メンタルトレーニングでは、新しい気づきを生むためのエクササイズを提供していきます。
ゴルフの練習場では何発も球が打てます。でも、本番のラウンドでは一発しか打てません。だからこそ、心や身体にさまざまなことが発生します。
今回はプロとアマチュアゴルファーとラウンドをしながら気づきのトレーニングをしました。
あるパー5のホールで、アマチュアの方が、会心のドライバーショットを打ちました。そして2オンを狙った2打目は、ひっかけて左のバンカーに入りました。そこから打った3打目はトップしてOBになりました。そして、打ち直しの5打目でなんとかバンカーから脱出しました。結局、このホールで8を叩きました。ティーショットがよかっただけに、かなり悔しそうな様子でした。
このホールが終わって、心に残っていることを聞きました。すると、2打目に2オンしようと力んでしまいミスをしてしまったこと。そして、その後ミスを取り返そうという欲が生まれたそうです。そして、その欲のままプレーして、OBになってしまったそうです。本人によると、いつも同じようなことを繰り返してしまうそうです。
ここで大事なことは、失敗が悪いわけではないのです。誰しもミスは起こります。そして、なんとかミスを取り返そうともします。
私がお伝えしたいのは、ミスがおきたときに、自分の中に起きていることにいかに気づくか。
今回は2オンを狙って心と身体が力んでしまいました。一度力んでしまうと、身体と心には、その余韻が残ります。一度発生した力みをすぐに抜こうとしても抜けません。
しかし、多くのゴルファーが、力んだことを忘れて、すぐにいつもと同じようにプレーしようとするのです。思考がいくら元に戻そうとしても、心と身体に発生した力みはそんなにすぐには抜けません。だから、どんどんフィーリングがズレていくのです。
まずは、力んだことにいち早く気づくこと。しかし、プロアマ問わず、力みが発生したことに気づくまでに数打かかっている場合が多いです。気づくのが遅れるほど、大叩きにつながります。
そして力みが抜けるまで数打はかかることを理解した上で、それ以上悪化させないプレーが必要です。ここで必要なのは、ナイスショットではありません。力みが残っているのにナイスショットしようとすると、逆に今回のような大きなミスにつながります。
いかにナイスミスができるか。ここで必要なのは、「忍耐のプレー」です。そして、身体と心がフラットに戻ってくるのを待つのです。
1つのプレーだけで、さまざまなことが複合的に起こっているのです。
メンタルは身体から見ることも大事です。坐禅をして心が落ち着いた経験を持つアスリートも多いですが、実は坐禅というのは、身体から心を整えていくアプローチなのです。
自分自身に起こっていることを、さまざまな視点からいかに気づいていくか。気づき力を高めていくのがメンタルトレーニングです。
詳しくは、週刊ゴルフダイジェスト第11号「波立たない心になる メントレラウンドでゴルフ力アップ」をご覧ください。