今発売中の週刊ゴルフダイジェストで「構えたらサッと打つ」というテーマが特集されています。
マスターズ優勝という偉業を成し遂げた松山英樹選手も、一時はパッティングで構えてから打つまでに時間がかかっていましたが、マスターズでは、以前に比べて構えてから打つまでの時間が早くなりました。
昨年の秋デビューした金谷拓実選手は、パッティングだけでなく、ショットもアプローチも構えたらサッと打っています。
一方で、プロアマ問わず、不調に陥ってくるほど、構えてからクラブを始動するまでの時間が長くなる傾向があります。
これは、いろいろな不安が、迷いを生んでいる状態です。構えてから考えるほど、プレーは複雑に難しくなっていきます。
ゴルフのメンタルトレーニングでは、プレー中にいかに言葉を減らせるかをやっていきます。
まずは、誰しもカップを見るでしょう。そしてラインを決めます。そしてアドレスに入り、ボールをみます。もじもじというのはここからスタートします。構えてからヘッドが動くまでの時間が長いのです。
構えてから時間がかかるというのは、さまざまな言葉が増えています。どこに向けてうつ。フック?スライス?どれくらいの強さで。ヘッドを真っ直ぐひかないと。これをいれたらバーディだ。ミスしたらどうしよう。言葉が増えていくほど、身体は動けなくなります。また、考えている間にカップやラインは消えていきます。
これは典型的な左脳パッティングといえます。いかに右脳パッティングできるか。そのためには、いかに言葉を減らせるか。プロゴルファーとのメンタルトレーニングでは、素振りをせず「とりあえず」打ってもらいます。これだけでも、かなり言葉は減ります。「とりあえず」というのは、考えてプレーする人にはかなり怖いと思いますが、考えすぎを防止してくれます。「とりあえず」というのは、考える前のプレーだからです。
自分が打つという「自我」が強くなるほど、迷いが増えていきます。自分で決めようとするほど、決められなくなるからです。これを自分を信じてというメンタルトレーナーもいますが、それで信じられる選手というのは、もともと調子がよいプレーヤーだけです。
考えるの逆は考えないではないのです。考えないではまた考えないことを考えてしまう。あるいは、考えてしまうことを否定してしまうので、また言葉が増えていきます。感じられるほど、考えるという働きは減っていきます。
たとえば大地を感じられているか。頭で考えているとき、大地の存在は消えているでしょう。大地と切れた状態でパッティングしていると、手打ちになっていきます。手打ちになるほど、感覚が鈍っていくのです。
言葉が増えるほど、手打ちをはじめ、部分のプレーになっていくのです。これが言葉のプレーの弊害です。
いかに部分ではなく、全体でプレーするか。
そのためにメンタルトレーニングでは大地にパッティングしてもらったりします。大地を主体にして、大地が打つ。大地に任せられるようになるほど、自我が薄まっていきます。
特集では、プロコーチの石井忍さんが構えて3秒以内に始動する「3秒ルール」について解説してくださっています。
詳しくは、週刊ゴルフダイジェスト第20号「シンプル思考でスムーズ動作」をご覧ください。