自分の限界を突破していくには、目先の結果から自由になる必要があります。

まさに、結果を出すために結果を捨てるという考え方です。

一方で、人は目先の結果を望む生き物です。
それは本能であり、決して悪いことではありません。
しかし、それでは本当に望む結果が出ません。

これも真実です。
だからこそ、メンタルトレーニングによって自分の心に挑戦する必要があるのです。

「得意」・「不得意」、「調子がよい」・「調子が悪い」というのは、
すべて自分を結果から評価している言葉です。

つまり、結果が良ければ、得意、調子がよいと考えます。
一方で結果が出なければ、得意ではない。
あるいは調子が悪いということになります。

ということは、結果によって自分自身が 囚われているということになります。

こうした評価は適切な評価として一時的によい結果を生むことはあります。
ただ自分を評価で縛ってしまうことになり、
実力を出すことを妨げてしまうことも多いのです。

では評価ではなく、もっと自由に力を出すことを助ける考え方は何でしょうか?

それは「好きを大事にする」ということです。

「好き」には、良い悪いという評価はありません。
それは自分の中からあふれ出てくる感情です。

子供の頃の昆虫図鑑や砂場遊び、また大好きな映画や本、
大好きな風景、大好きな友人・・・

一方、プロスポーツ選手を見ていると、
勝つために何をすべきで何をすべきでないか、
よい結果を出すために何が得意で何が得意でないか、
今日の試合を考える上で、何が調子がよくて何が調子が悪いかと
いう視点を中心にプレーを考えています。

確かに評価や分析も大事ですが、それだけでは偏ってしまい、
行き過ぎると苦しみになってしまうのです。

「好き」とは、何でもよいのです。
むしろ大きな好きではなく、小さな好きを見つけるのです。

ゴルフで言えば戦略を立てるのが好き、グリーンが好き、フルショットが好き、
アプローチが好き、ラインを読むのが好き、キャディさんと話すのが好き、
80ヤードに立つと心がなぜかワクワクしてくる

そして人は「好き」なことをしているときに努力しなくても没頭できるのです。
好きを極めていくことが成長のためには大事な要素です。

プロゴルファーのKさんは、スコアが伸び切らないのが悩みでした。
前半がよければ後半で伸び悩む、1日目がよければ2日目でスコアを落とす。
どうしてもまとめようとして突き抜けることができないのです。

この方の口癖は「今日はドライバーの調子が悪い」「このコースは苦手」
「15番は鬼門」「途中から風が強くなって調子が狂った」
「せっかく調子がよかったのにディボットに入ったりアンラッキーなことが多かった」
「ギャラリーのマナーが悪くて、プレーに集中できなかった」など。

Kさんに好きなことを聞いてみると、
最初は「アイアンが得意」「50ヤード以内は少し自信がある」など
うまくいった経験しか出てきません。

なので質問を変えて没頭できるときを聞いていくと、
実は「インパクトの音」を聞くのが好きだったのです。

この方は、音楽が大好きで楽器もやっていたことも分かりました。
またゴルフでも大好きなインパクトの音があったのです。

しかし、音が好きなことがゴルフに生きてくるとは
まったく思っていなかったのです。

そこで「大好きなインパクトの音にこだわってやってみませんか?」
という提案をしたところ、すごく嬉しそうな表情に変わりました。

本番でもインパクトの音に集中することで、
調子や周りの環境についてこだわることが少なくなり、
最後まで突き抜けた感覚を維持することができるようになったのです。

これはゴルフだけではありません。
すべてのスポーツ、ビジネスにも言えるのです。
みなさんも、ぜひ好きなことからプレーを考えてみてください。
見方が変わってくると思います。