クライアントさんの卒業
先日、クライアントさんがまた1人卒業されました。彼女はプロゴルファーですが、スランプに陥ってドン底のとき、お会いしました。あれから3年あまり、人生を伴走させていただきました。
卒業にあたって彼女がSNSにアップしていた文章を紹介します(事前に掲載の許可は得てあります)
この度は晴れて卒業することになりました⭐️
出会いは突然に。
その頃もがいていた私がネットで探して出会ったのが赤野さんでした。
私のおもしろセンサーに「禅メンタルトレーニング」というワードが引っかかり、広島にゆかりがある方でもあって、広島弁が通じる安心もありお声をかけさせて頂きました(笑)
今でも「赤野さん」とお呼びしていて、
あえて「先生」とは呼んでいませんでした。
自分自身を見てもらうべく。いかに自然で素直に居られるかというとこも考え、あえて赤野さんと呼んでいました。
この3年間で私が手にしたもの。
それは「あんしん」です。
安心して自分らしく居れること
安心して不安になれること。
安心できる人に出会えたこと。
ゴルフに対しても素直に向き合い、自分の弱さや怖がりなところを許せるようになりました。気を張ってやっていたプレーが今ではスキだらけで余白がたくさんあるフレッシュなプレーになってきました♪
まだまだこれからの人生どうなっていくか分からないけど、出会いと別れを繰り返して、こうやって人生を深めていくんだろうなぁと思います。
自分でもわからないけど
これからの不思議な人生が楽しみです😊
「強くあれ」が抜けると「素直」になる
彼女にとって、赤野の関わりはどうだったのか最後にお聞きしました。そこで言われたのは…
「赤野さんの前では強くいなくていい」
ゴルファーとして勝たねばならない。人間として強くあらねばならない。
そう思って生きてきてそうです。だからこそ努力を重ねてプロになれたという側面もあったのでしょう。
しかし、どこかで自分らしいプレーを見失っていました。
ひとつひとつのプレーに、力みが入っていました。無理に力を入れていたので、体の痛みにもつながっていたのです。
メンタルトレーニングでは、「自然体」を重視しました。いかに自然体でプレーするか。ゴルフだけではなく、普段から自然体で対話するかも大事にしました。
気がつくと、ゴルフでも人生でも強がらなくなっていきました。そして、「強くあれ」が抜けていくと、「素直」な自分が現れてきました。
「素直な自分」でいると、安心したのです。
それまでは、ゴルフだけでなく、対人関係、人生において、安心はありませんでした。だから、ゴルフも人生も固くなっていたのです。
赤野からは、まったく強さを感じなかったそうです。はじめて、強くいなくてもいい人に出会えたのです。
素直になっていくと、自分の弱さも受け入れられるようになりました。強がらず、安心できてくると、プレーの固さが消え、次第に柔らかくなっていったのです。
それが彼女本来のプレーでした。
人は、本来の姿でいられると、安心します。しかし、人生経験を積む中で、さまざまな鎧を身につけます。何が鎧で何が本来の自分なのか、いつしか分からなくなるのです。彼女にとって「強くあれ」という鎧が外れたことで、自由に楽に動けるようになったのだと思います。
そして、人生のパートナーに出会いました。素直な自分でいられるそうです。
鎧を脱いで自然体になれたことで、本来出会うべきご縁に巡り会えたのだと思います。
私のお役目は終わりました。
ゴルフはまだ成長の途上にありますが、やり残したことはありません。一番大事なものを手にした彼女は、もう何が起こっても自分で乗り越えていけるでしょう。
クライアントを幸せにするコーチ
コーチングというと、高い目標を掲げ進むことだと思われがちですが、こんな結果もあるのだと、私自身驚いています。
ある雑誌の編集者の方が「赤野さんはクライアントさんを幸せにするコーチですね」と言ってくださったことを思い出しました。
本当に大事なものに出会うために、本来の自分に目覚める。それが幸せではないでしょうか。
ちなみに彼女を支えてくださっているスポンサーさんが、「あなたはまだやれる。この数年の変化を見ていてそう思った。35歳になるまでは絶対やめるな。それまでは応援するよ。」と言ってくださったそうです。
本当の彼女を見ていてくださったのだと思います。素直になれると、素直なご縁が生まれます。
自然体とは健全な身体と心から生まれる
私は、自分にも人にも素直でありたいといつも願っています。
ただ、もともとは強くあろうとしていました。人にも自分にも。まったく弱さが認められませんでした。それが苦しかったのです。
さまざまなクライアントさんと出会う中で、私自身もいつしか強さが抜けていたのです。
強くなりたい人は、まずはとことん努力して、強さを追求されればよいと思います。それで勝てたら素晴らしいですし、何よりもやりきったという体験が大事です。
しかし、人間は年齢と共に体力は衰えていきます。そんな中で、体の強さにこだわると怪我をします。また、心の強さ、勝つことに偏っていくと感性が鈍っていきます。どこかで、強さではない人生に転換するタイミングがあります。
強い体と強い心の次のステージにあるものは…
それは健全な体、健全な心です。
健全な体、健全な心とは、もともとの身体、もともとの心に戻ることです。
もともとの心と身体を知ることが、「素直」ということです。
しかし、人はいろいろなものを足し続けてきたせいで、もともとの身心を知らないのです。忘れているといってもいいと思います。
武道の道、坐禅の道、さまざまな「道」の鍛錬は、余計な力みを引いていくことです。足すのではなく引くことで、本来の働きが現れてきます。魂を磨くといってもいいでしょう。
私自身は、コーチングを通して、クライアントさんと引く道を進んでいます。
今回卒業されたプロゴルファーのように、「強くあれ」を引いたことで、本当に大事なものに出会えました。
最初は強さを手放すことに葛藤があったことと思います。しかし、おそらく強さの限界を感じていたからこそ、思い切って、真逆の方向に進むことを決断できたのでしょう。
「強くあれ」が抜けて素直になった彼女に、私自身は「癒し」を感じていました。彼女といるだけでホッと癒されるのです。それは彼女が本来持っている素晴らしい力です。
強さの限界を感じた時は終わりではありません。そこからが本当のあなたに出会う道の始まりなのです。
一番大事なことに出会うには
ここまで読んでくださりありがとうございました。今回は、いかがだったでしょうか。
一番大事なものは何か。
難しい問いですね。
自分だけでは気づけなくても、2人だから出会えるものがあるのです。それがコーチングという形の原点かもしれません。
「関係性からの気づき」と呼んでいます。人は深い関係性を体験することで、さまざまな気づきが生まれてきます。2人で対話を重ねる中で、本当に大事なものに気づけるのです。
ちなみに、今年は四国88ヶ所を巡るお遍路の旅をしています。週末に少しずつ回っています。
この前、ふと気づいたことがありました。ひょっとしたらコーチングセッションは、お遍路さんのようなものかもしれない。まさに「同行二人」ではないか。どんなに苦しい時でも、空海さんがいつもいっしょにいてくれる…
そんなコーチになりたいですね。少し飛躍しすぎでしょうか。