Don’t think! Feel!
これは映画「燃えよドラゴン」の冒頭で、ブルース・リーが稽古の中で弟子に伝えた有名なセリフです。聞いたことがある方も多いと思います。実は、この言葉には続きがあるですが、ご存知でしたか?
「考えるな!感じろ!これは、月を指差すのと同じようなものだ。指に集中するんじゃない。その先にある栄光が得られないぞ。」
これは、「指月の譬(たとえ)」と呼ばれているもので、仏教と深い関わりがあります。「月を差す指」とは、目に見える言葉や概念、お経というテキストであり、いわば考える脳が生み出すもの。その先にある月とは、言葉や概念を離れたところに「悟り」があるという教えです。
相手を倒したい、勝ちたい、いい蹴りを入れたいというのはすべて思考であり、これは月をさす指に囚われている状態。一方で感じる心は無限であり、その先にある月にまで至ることができるのです。
「燃えよドラゴン」の稽古では、考えて動いてしまうクセを直すために何度も同じ動作を繰り返すのですが、なかなかうまく出来ません。考える心があると、一瞬の隙が生まれてしまうのです。
直感的に動けるようになるために言い放ったのが、「Don’t Think. FEEEEL!」だったのです。
考えるな!感じろ!この教えはゴルフでもとても大事になります。考える脳は、実は「点」しか表現できません。指に意識がいくと、そこで流れは止まります。
なので、考える脳でボールを打とうとすると、スイングの途中で流れが止まってしまうのです。また考える脳は、動くより先に結果を予想したり、体の動きやクラブをコントロールしようとしたりします。結果として、体やクラブは流れを失い、スイングがぎこちなくなってしまいます。
一方で、感じる心は川のように常に流れています。体や心は無常であり、常に変化し続けているので、感じることにも終わりがありません。アメリカの心理学者チクセントミハイ博士は、時が経つのを忘れて何かに没頭している集中状態を「フロー」と表現していますが、このフローとはまさに「Flow=流れている」のです。流れている状態を感じていることが、集中状態に心を持っていくのです。
感じる心はショートパットでもとても大事になります。特に短いパットが苦手な人は、打つ前から絶対に入れなければならないと考える脳になっているので、いわゆる「打ち急ぐ」という状態になります。
これをゆっくりとか、頭を残してという言葉を使って考える脳で押さえ込もうとすると、逆にインパクトが緩んだりします。ショートパットこそ感じる心を大事にしてください。ただストロークを感じる。その時、決して先走らないでください。0.5秒遅れながら心が付いていく感覚を大事にしてくださいね。