ラウンドしていると、さまざまなことで心がアップダウンします。バーディをとれば嬉しくなりますし、1メートルのパーパットを外せば悔しい。
楽しさと悔しさ、ゴルフコースには人生があるといわれますが、いい流れの時は、何も考えずプレーできるかもしれません。しかし、ミスやアンラッキーが続くといろいろ考え始めて、心が乱れてきます。さらに乱れるのは、結果を意識し始めたときです。あといくつで上がればベストスコア更新だと気づいた瞬間、崩れた経験はどのゴルファーも経験されていると思います。
結果を考えるとなぜ心は乱れるのか。それは、結果は未来であり、誰にも分からないからです。分からないことはファンタジーであり、きょうは優勝だとか、ベストスコア更新だといったいい物語が浮かぶと、一時的に心が浮き立ったりします。しかし、その後には、今のスコアを守らなくてはとか、ミスしてはいけないという不安や焦りが浮かんできます。未来の物語とその後にくる不安とはセットだと考えてください。未来への期待が高くなるほど、不安や焦りは大きくなります。
ここで申し上げたいのは、結果を求めるのが悪いわけではありません。ただ結果に自分のプレーが振り回されるといつまでもベストスコアは更新できません。だからこそ「結果を出すためには、結果をまず捨てる」という考えが大切になります。結果に持っていかれた状態から、今この瞬間に心を戻すのです。
そして、心が乱れたときの魔法の質問をご紹介します。
「今できることは何か?」
こう自分に問いかけてください。
今できることとは、実は小さなことなのです。
喉がカラカラなのに気づいて、水を飲むことかもしれません。
呼吸が浅くなっていて、深呼吸することかもしれません。
表情が硬くなっていて、笑顔になることかもしれません。
今できることを自分に問いかければ、何か必ず答えが返ってきます。それは、今出来ることであり、無理のないものです。
出来ることをやる。出来ることからやる。
いろいろ考えすぎるのではなく、ただ方向を決めて打つ。
自分が選んだクラブを信じて、ただ振り抜く。
そうやって今出来ることの点をつないでいくことで、心はシンプルになり、いつしか結果という意識は消えていきます。上がってみて、気づけばベストスコアだったという結果になるのです。
結果というファンタジーは、一時的に心地よさをもたらしますが、それは麻薬のようなものです。脳が刺激を求めてすごいことを考えてしまうのです。しかし、いきなりすごいことは起きません。だからそのギャップに心を乱されるのです。夢物語ではなく、現実のプレーをどれだけできるか。
目の前のことは、とても小さな一歩です。今出来ることは何か?ぜひ、何度でもラウンド中に問いかけてみてくださいね。きっと、シンプルな答えが見つかるはずです。