先ほどのホールまで気持ちよくプレーしていたのに、急に目の前のホールのフェアウェーが狭く見えたりした経験はありませんか。こうなると、スムースなスイングは難しくなりますし、不安なまま打ってしまって結果はOB、そこから崩れてしまったという苦い経験を多くのゴルファーがされていると思います。
プレッシャーがかかると、身体は硬くなります。これ自体は普通のことですが、さらに状況を悪化させるのは、「思考」です。パッとの調子が悪い時ほどラインや傾斜など、あれこれ考えすぎて、さらに迷いは深まります。これは、思考で不安を乗り越えようとしている状態。頭の中で言葉のやりとりが多すぎると、逆に混乱するのです。パットを例をあげると、10メートルの距離を方向ばかり気にしすぎて大きくショート。ガックリして打った次のパットは大きくオーバー。これも入らず4パットというケースは誰しも経験したことがあると思います。3パットならまだ立て直せますが、4パットのダメージはかなり大きいです。
不安や迷いは思考で増えていきます。これは小さな雪の球が、坂道を下る中でまさに雪だるま式にどんどん大きくなっていくようなもの。思考で大きくなった実態のない不安は、収拾がつかなくなります。思考と上手く付き合っていくためには、メンタルトレーニングが必要です。
迷ったときはまずイメージを作ることが大事。イメージできないことを体は表現できません。イメージするときには、ここをこうやってと言葉で細部を指示するのではなく、弾道の映像を思い浮かべましょう。こういうドローでフェアウェーの右サイドから軽く回していく。こういう高さでグリーン左からフェードで曲げる。このとき、うまく出来ないのではないかという不安が湧いてくるかもしれませんが、それは思考なのでとりあえず横に置いておきましょう。
そして、イメージしながら素振りをします。その時、スイングを直そうとすると思考に入ってしまいます。大事なことは、球のイメージを身体で表現してみることです。最初は、上手く出来ないかもしれません。でもそれでOKです。上手く出来ない違和感は、思考からイメージへ切り替えているプロセスだからです。映像とフィーリングが何となくイメージ出来たら、そのままプレーに入りましょう。アドレスが長いと思考による言葉が増えていくので、身体はどんどん固くなっていきます。
最後に大事なことは、イメージを信じきる勇気を持つことです。迷いとは、言い換えれば2つの思考が混在している状態。思考の特徴は、複数の考えを同時に持てるということです。そして複数の思考は喧嘩します。それが人間らしさでもあるのですが、ゴルフのプレーにおいては、逆効果になります。一方で、イメージは一つしか持てません。イメージは喧嘩しないのです。
スポーツやアートにおいては、言葉が逆に身体や心の動きを邪魔してしまうことがあります。一流のサッカー選手でもボールをコントロールしようと思考すると、逆に動きがぎこちなくなります。PKの場面で、一流の選手達が考えられないミスをするのは思考のせいです。ここ一番での緊張した場面で思考をいかにイメージに切り替えるか。ぜひ、メンタルトレーニングに挑戦してみてください。
不安な時こそしっかりイメージを持ち、そのイメージを信じて、振りきりましょう。