ドライバーが良いのに、アイアンが悪い。アイアンがいい日はドライバーが悪い。ドライバーとアイアンはいいのに、パターが悪い。なかなか噛み合わず、スコアがまとまらない。もちろん技術的な原因もありますが、今回はこうした現象をメンタルトレーニングという視点からお伝えしたいと思います。

ではまず質問です。皆さんのプレーの軸となるクラブは何ですか?

軸になるクラブとは、皆さんのスイングの原点になっているクラブのことです。軸がよく分からないという方は、軸となるクラブを探すことからはじめましょう。

軸選びのポイントは、一番自分らしいスイング、一番心地よいリズムで無理なく打てているものを基準にしましょう。軸が決まったら、そのスイングやストロークのリズム、打ち方を分析します。スイングでいえば、ダウンブローか払い打ちか、スイングの軌道や速さ、どこを起点にしてリズムをとっているか、などです。自分では自分の特徴はよく分からないという人は、信頼できるゴルフ仲間に聞いてみるといいでしょう。案外、周りの人はあなたの特徴を分かっているものです。

あるアマチュアのベテランゴルファーは、お会いしたときに絶不調の状態でした。でも、半年前には70台を連発していて、絶好調だったのです。確かにスイングのリズムも不安定で、無理矢理打ちに行っている感じでした。なぜ、半年でこんなに変わってしまったのか、本人も理由が分からないのです。そして、プレーを見ていてあることに気づきました。パターを変えていたのです。その方はパットの名手だったのですが、リズムが悪くなっていたのです。

以前は、大きなヘッドのパターを肩と腕の三角形を大事にしながら打つスタイルだったのですが、変えたパターはヘッドが小さかったので、パチンと手で打つ感じになっていました。パターの重さや形状が変わっていたので、知らず知らずのうちに打ち方が変わっていたのです。結果的に三角形が崩れていました。そこでパターを元に戻した結果、ドライバーもアイアンも、アプローチも以前のキレが戻ってきました。この方のクラブの軸はパター、三角形で打つスタイルだったのです。

このように、軸となるクラブは、他のクラブにも大きな影響を与えます。軸を持っておかないと、調子が悪くなったときにスイングをいじろうとしたり、クラブを変えたりします。一瞬はよくなったような気がするかもしれませんが、多くの場合、さらに状態は悪くなっていきます。人はそれぞれ体や心の癖を持っています。この癖がスイングの形やリズムになっているので、無理に直そうとするよりも、まずは自分の癖を知り、それを活かすことが大事です。

まずは、軸となるクラブを探しましょう。軸を決めることで、不必要な修正をなくすことができます。何より自分の原点を知っておくことで、安心感が出てきますし、調子が悪くなったときに、早く立て直すことが出来るようになります。