メンタルトレーニングのコラムを連載中の週刊ゴルフダイジェスト、今週のテーマは「心の動きは目に出る」です。
皆さんは、素振りの時にボールを見ながら振っていますか?
それとも、ボールを見ずに振っていますか?
一つ実験をしてみましょう。まず、アドレスしてボールを見ずに素振りをしてください。恐らくスムーズに振れていると思います。その感覚を覚えておいて下さい。次にボールを見ながら素振りをしてください。2つの素振りで何か違いはありましたか?
同じだったという方は、素振りのとおりに振れています。一方で、ボールを見ながら素振りすると、力の入り方や、スウィングの軌道など何かが変わっていたという方は、本番では素振りどおりには振れていません。
なぜ素振りのように振れないのか。ゴルファーが悩んでいる大きな原因がボールの存在とそれを見る目にあります。いかに安定した目を作るか、メンタルトレーニングの大きなテーマといえます。
人は緊張するとキョロキョロし始めます。心が彷徨っている状態が目に出るのです。ただ、多くのゴルファーが、ラウンド中にキョロキョロしていることに気づいていません。苦手な状況や苦手な番手で、目が泳いでいるのに気づいていないのです。キョロキョロと動く目では、安定したスウィングをすることはできません。同じように振っているつもりでも、目が動いていると、スウィングの軸がぶれています。
なので、ボールを見ながら素振りをしましょう。まずは素振りをするときに、ボールを見る目の動きを止められるか練習するのです。目の動きが静かになれば、心の動きも静かになっていきます。
ゴルファーは構えてボールを見た瞬間に、フィーリングが変わります。ボールを見ると「打つ」という意識が発生し、スウィングを「感じる」ことを邪魔するのです。力んでしまったり、逆に緩んでしまったりします。
本番になるとフィーリングが変わってしまうゴルファーは、ボールを見ながら、いかにいいフィーリングを作るかに挑戦するのです。最初は、ボールを見ないときに比べて固くなったり、ぎこちなくなったりするかもしれません。それは、ボールを打とうする意識が強くなっている証拠。まずそれに気づくことが大切です。目でボールを捉えたときのあなたの身体の反応を知ることが、メンタルトレーニングのスタートです。
このときに注意したいのは、目に力を入れないこと。ボールを見ようとして力が入ると、身体も力んでしまいます。ぼんやりとボールが目に入っているくらいが、リラックス出来ている状態です。
番手や状況によって感覚は違うでしょう。ドライバーでボールを見ながら素振りをしたときにスムーズに振れているとすれば、ドライバーが得意だと推測できます。一方で、アプローチでボールを見ながら素振りをすると違和感を感じるとすれば、今アプローチに悩んでいる可能性が高いです。ボールを打つことへの恐れが身体に影響を与えているのです。まずは、クラブごとに確認してみてください。
普段の練習でやっていただきたいメンタルトレーニングは、まずはボールを見ない素振りでスウィングのフィーリングを掴むこと。そして、今度はボールを見ながらの素振りで実際に打つときのスウィングの感覚を掴む。これを交互に行うことで、ボールを見ながらでも、いい感覚で素振りが出来るようになります。結果的にボールに意識がいきすぎないフィーリングでショットを打てるようになるのです。