皆さんは、丁寧に生きていますか?

残念ながら、私はつい雑になります。

では、「雑」と「丁寧」の差は何なのか?

お茶のお手前していると、自分の雑ぶりがよく分かります。

お手前をしながら、きょうは上手く出来ているなと思った瞬間に、お手前が乱れます。あるいは、他のことを考えていると、師匠から「もっと丁寧に」「ひとつひとつ」というお言葉をいただきます。

お茶で使う道具は、茶杓、茶せん、なつめなど、ほとんどが軽いものばかりです。だから、つい無意識にひょいと持ち上げてしまうのです。これは、雑になっている状態。

では、丁寧とはどのような状態か。一つの道具に触るときに、まず触れているという感覚を大事にする。いきなり持っていくではなく、触れる、そして持ち上げるという動作を一つ一つ感じていくのです。

やってみると、かなり難しい。心が先走ってしまうのです。

スポーツでも、結果を考えてしまうと、思考が先走った状態になり、プレーが雑になります。

プレーが雑になってくると、思わぬミスを生みます。プロ野球選手でもボールをうっかりグラブからこぼしてしまうことがあります。これは、ダブルプレーを焦ったり、走者が気になったりと、次のプレーに心が先走っていることが原因です。

ただ選手達も雑にしようとしているのではなく、自然に雑になっていくというのが真実です。

先走った思考を今この瞬間に戻す。そのためにまずは先走っていることを瞬時に気づくこと。自分の状態に気づく練習がメンタルトレーニングになります。

丁寧とは、自分や対象物に心が寄り添った状態。

一度にたくさんのことには寄り添うことは出来ません。たくさんのことを抱えているとこれも雑になっていきます。だから、ひとつひとつということを禅の修行では大事にします。これは、スポーツだけでなく、仕事や人生にも言えることだと思います。

ちなみに、私は寄り添ってくれる人が好きです。でも、本当に寄り添ってくれる人は少ない。

私自身も、つい解決に先走って、アドバイスしたりすることもあります。そういうときは、あまり上手くいきませんね。人は寄り添ってくれるだけで、力が湧いてくるものです。

寄り添うということは、相手を大事にしていること。先走らず、今この瞬間、目の前にいるその人だけを大切にする。

まずは、自分に寄り添ってあげましょう。そのためには、急ぐのではなく、少し余裕を持つことが必要かもしれませんね。

週刊ゴルフダイジェスト第32号、メンタルトレーニングのコラム「禅の境地へ」第123回のテーマは「なぜプレーが雑になるのか」です。

ご興味のある方はぜひご覧くださいね。