仕事でもスポーツでも、「運がよい」と思えるときは上手くいっていると思います。

一方で、「運が悪い」と思っているときは、なかなか上手くいっていないのではないでしょうか。

「運」をどう考えるか。これは、メンタルトレーニングでも大事なテーマです。

私自身、会社員をやっていた頃は、仕事でもゴルフでも何か上手くいかないときには、運が悪いとふてくされたり、不平不満を言っていました。

あるとき禅の師匠とアメリカで一緒にゴルフをしていたとき、「ラッキーかアンラッキーかは、人の心の持ち方次第。ラッキーだと思える心を持てるかが大事ですよ。」と笑いながら話されていました。さすが禅の老師はゴルフも違います。

選手達とメンタルトレーニングをやっていて、運というのは、自分の心と繋がっていることを痛感します。

運は自分の心の状態を映し出す鏡ともいえます。

理想が高すぎると上手くいって当たり前、少しでも思い通りにいかないと心が腐ってしまいます。ほとんどの場合、運が悪いということになりがちです。

理想が高いのが悪いのではありません。理想が高いと、自分の中でハードルが上がります。その高いハードルがあなたを鼓舞するのか、それともあなたのエネルギーを奪うのか。冷静に見定める必要があります。

また、勝つことを意識しすぎると、無理に何かを「ねじ伏せよう」としようとします。ねじ伏せようとすると、それだけ大きな抵抗が生まれます。あなたにそれを跳ね返すだけのパワーがあるときは、戦いに挑むことを楽しめるでしょう。しかし、少しでもパワーが落ちると、手ひどいしっぺ返しをくらうことになります。これも冷静に状況を見定める必要がありますが、多くの場合、自分の力を過信しているケースが多いです。その結果、運が逃げていきます。

ねじ伏せるの逆は、受け入れること。

自分の力を過信するのではなく、よいときはよいなりに、悪い時は悪いなりに受け入れる。

理想の最高のプレーではなく、最低限出来ることをやりきる。

これは「しのぐ」プレー。

ピンチを受け入れながら、いかにしのぐかに注力していると、不思議なことにどこかでラッキーがやってきます。

過信のプレーからしのぐプレーへ。

週刊ゴルフダイジェスト第38号、メンタルトレーニングのコラム「禅の境地へ」第129回のテーマは「ラッキーゴルフを目指そう」です。

『デサントレディース東海クラシック』で渋野日向子選手が大逆転で優勝を果たしました。

全英オープン女子ゴルフでの優勝以来、周りの環境が激変し、さらに連続オーパーパーなしの記録もかかる中で、持ち味の思い切りよいプレーが出来なかったという渋野選手。

先週の大会で記録が途切れたことで、ありのままの自分に戻ることができたそうです。きっと、何かが吹っ切れたのでしょう。そして、今回の8打差をひっくり返す大逆転の優勝。本当にゴルフって奥が深いですね。

渋野選手は優勝後のインタビューで、「きのう、きょうと(台風の影響で)天候があやしい。雨にも降られなかったし、朝のうちは風がないとか、終わってみれば、心から幸運でした」と話していました。

幸運を感じられている間は、まだまだ快進撃が続きそうですね。