身体が疲れていると、いいプレーは出来ません。
これは、心も同じです。心が疲れていては、いいプレーは出来ません。
心のエネルギーを溜めることで、1つのプレーへの集中力が変わってきます。
アスリート達を見ていると、本番までに練習をしすぎて、力を出し切っている選手が多い。
練習しておかないと本番で力が発揮できないのではないかという不安は分かります。
本番で力を発揮するには、いかに力を溜めた状態で望めるかが大事になります。
メンタルトレーニングでは、練習しすぎている選手達に、本番前1ヶ月の練習を半分にするように指導したりします。
最初、選手達はかなり不満な感じです。また、どうやって半分にしたらよいのか、かなり戸惑うようです。
罪悪感を感じる選手もいます。
ただ、不思議ですね。
ある剣道の選手は1ヶ月ほどたったときに、
「半分にすることで、一本一本にかける集中力が格段にあがった」と驚いていました。
量を減らすことで、質に変化が生まれるのです。この選手の場合は、真剣度があがりました。
いかに、力を溜めていくか。
そのためには、実は「もの足りない」くらいが丁度いいのです。
もう少し練習をしたい。
もう少し走りたい。
もう少し探求したい。
ご飯でいえば、お腹いっぱいにするのではなく、腹八分目でやめる感じ。
まだ食べたいという状態だから、次の食事が欲しくなります。
お腹いっぱい食べてしまうと、動きたくなくなります。
これは満足しているようですが、余計なものが入りすぎています。
そして、腹八分目でやめてしばらくすると、お腹が満たされてきます。
お腹がいっぱいになったと感じるには時間差があるのです。
なので、100%満足するまで食べてしまうと、食べ過ぎなのです。
八分目くらいで、しばらくすると、満足という状態になります。
これは、食事だけではなく、スポーツも同じ。
上手くいかないと、納得できないので、とことんまで練習します。
これは時には必要ですが、ただやり過ぎは逆効果になるので注意が必要です。
もの足りない→すぐに欲しい
こうなると、食べ過ぎたり、やり過ぎたりします。
もの足りない→少し待ってみる
しばらくすると、次第に満足感がやってきます。
もの足りないくらいで、しばらく置いておく。
納得できないくらいで、しばらく放っておく。
この余裕というスペースが、最後に必要な1ピースを埋めてくれます。
週刊ゴルフダイジェスト第39号、メンタルトレーニングのコラム「禅の境地へ」第130回のテーマは「もの足りないのススメ」です。