メンタルトレーニングをやっていると、「集中力が続かない」という悩みを選手たちからよく聞きます。
これは、恐らく何か一点に対して焦点を合わせられている状態を指しているのではないかと思います。
スウィングの修正。ターゲットへの意識。マネジメントへの意識。リスクへの対応。
頭で考えて、状況に的確に対応できるかどうか。ちょっと気を抜くとミスしてしまうという意識が緊張感をもたらします。これも集中の一つですし、 こうした緊張感が必要な場合もあります。
ただ、この張り詰めた緊張感は長くは続きませんし、この状態を続けようとする努力はお勧めしません。なぜなら、張り詰めた状態に偏っていくと、逆にもともと持っている感性が消えていくからです。
ゴルフでも、一点に集中していると、最初はよくてもどこかで上手くいかなくなることがあります。張り詰めていると必ずどこかで糸が切れたり、同じようにスウィングしているはずなのに、方向性が悪くなったり距離感が合わなくなったりします。
これを集中力がないせいだと決めつけて、さらに集中しようと頑張るほど、直感は失われていきます。直感という感性は、意識が頑張るほど減っていく反比例の関係にあります。
感性が現れてくる集中とは、ぼんやり全体を感じている集中といえます。
ちなみに寒い日に、あったかいお風呂に浸かっているときを想像してみてください。お湯を全身で感じているときは、気持ちよいという感覚になります。
不思議なもので、ボーっとしていると、いいアイデアが湧いてきたり、いい気づきが生まれやすい。スポーツでも全体を感じられていると、身体が自然に動き出す。
ただ、ボーっとするのがなかなか難しい。放っておくと、すぐに頭が忙しく働き始めるからです。
一点と全体どちらが良い悪いではありません。まずは、両方を試してみる。違いを感じてみましょう。
何か試合やプレゼンがある朝は、いきなり本番モードに入るのではなく、まずはコーヒーでも飲みながらボーっとすることからスタートするのもいいですね。どんなときに自分はボーっと出来るのかを生活の中で探していくのです。
一点と全体のバランスをどうとっていくか。
週刊ゴルフダイジェスト第44号、メンタルトレーニングのコラム「禅の境地へ」第135回のテーマは「集中とは一点ではない。薄く全体という集中もある」です。
ご興味のある方は、ぜひ読んで見てくださいね。