週刊ゴルフダイジェストNo.43の企画で、禅の師匠である藤田一照さんと「呼吸法」について対談させていただきました。
試合や本番では、未来への結果や過去の経験などに心を持っていかれます。その結果、緊張という状態が起こります。
リラックスするために、深呼吸するという方も多いと思います。メンタルトレーニングにおいて、呼吸法というのは大事なテーマです。
編集の方からは、当初リラックスするための呼吸法を禅の視点から紹介して欲しいという依頼でした。
一照さんが紹介されたのは「しない呼吸法」
ゴルフダイジェスト誌でも、これまで数々の呼吸法を紹介されたそうですが、「しない呼吸」という視点は、はじめてだったそうです。
私なりにこれまで一照さんからご指導をいただく中で、禅の「調息」という概念は理解していたつもりでしたが、まだまだ浅い理解だったことに気づかされました。
ここからは私なりの気づきです。
自分が思っているよりもいろいろな呼吸が起こっています。
浅い、深い。早い、ゆっくり。長い、短い。静か、荒い。角張っている、丸い。間がある、間がない。強い、弱い。
あくびもその一つです。あくびをすることで、身体に起きている緊張をほぐしてくれているのです。
まずは、どのような息が起こっているのか感じてみましょう。
一照さんの言葉をお借りすれば、「呼吸に親しむ」ことが坐禅といえます。
呼吸は整えるものではない。自然に整うもの。
これは、究極の呼吸法ではないでしょうか。
私自身、坐禅をする中で、どこかで「良い息」を求めていたことに気づかされました。まだまだ未知の息がありそうです。どんな息に出会えるかと思うと、ワクワクしてきます。
対談の中で、スポーツには、テクニックの方向とアートの方向があるという話になりました。
スポーツでも、頑張っていいフォームを作るという意図的にコントロールする方向に偏りがちです。テクニックを磨くのがもちろん大事ですが、それだけでは「アート」は生まれません。
アートの方向とは、手放し、任せること。
呼吸が整えば、スウィングも自然に整っていきます。
対談の中で、一照さんがゴルフのエアスウィングを披露してくださいました。
美しかったです。余分な力みがまったくない初心のスウィングでした。
ちなみに、一照さんはまったくゴルフ経験がありません。クラブって何?って言われていたくらいなので。
肺の形を崩さず、長い脊椎をイメージしながら呼吸しつつ、振っただけだそうです。まさに、アートですね。
今回の特集ではこのほかにも、呼吸を今この瞬間へのアンカーにすることで、大丈夫というベースラインが生まれるという話などが掲載されています。
詳しい内容は、今発売中の週刊ゴルフダイジェスト43号をご覧ください。
夢中で話していたら、あっという間に3時間がたっていました。紙面の都合で、まだまだお伝えできていないことが多くあります。もの足りないという思いもあったのですが、妻に記事を読んでもらったところ、なかなか難しいので、これくらいで良かったのではと言っていました。
伝えたいことが溢れていても、多すぎては逆に伝わらない。今回は、呼吸というテーマに絞っていただいたのは、良かったのかもしれません。
一照さんと出会って、禅をスポーツに活かす可能性が大きく広がりました。メ禅の世界は、無限すぎて捉えどころがなく、分からないことばかりで悩んだ時期もあったのですが、少しずつ言葉になってきています。今回はその一端をご紹介できて、本当に嬉しく思っています。