みなさんは自分の枠について考えたことはありますか?

「枠?」といわれてもよく分からない方も多いと思います。
しかし、人は自分の枠を持ちながら生きているのも事実なのです。

食品の卸業を経営するAさんの方とセッションの中で
「ある研修にいってきたのだが、全く面白くなかった」という話になりました。
進め方に納得できなかったり、内容が自分にそぐわなかったり、
嫌なのに無理やり押しつけられたそうです。15分ほど研修への不満が続きました。

「では、その場で納得できないことは伝えたのですか?」
しばしの沈黙・・・
「いや、そういうことは伝えない方がいいと思うのですが・・・」

納得できない思いを持ったまま、研修を2日間受け続けたそうです。
その忍耐力は素晴らしいと思うのですが、後から愚痴が出るのです。

「本当はその場で思ったことを伝えられたらいいのですが・・・
なかなかうまく伝えられないのです。」
他の人の迷惑になるかもしれない、バカなやつだと思われたくない、
和を乱すようなことは発言するものではない、目立ちたくない、否定されるのが怖い、
発言をとどまらせる理由はいろいろありました。

Aさんは、仕事でも同じような場面になったとき、
自分の思ったことを無意識のうちに抑えて発言せずにいました。

そのことが後でよみがえってきて、いつまでも不満に思ったり、
部下に対しては別のことにかこつけて責めたりしていました。

その話を聞いているとき、
枠のようなイメージが浮かんできたのでそのことを伝えてみました。
「Aさんは自分の枠について何かイメージがありますか?」

「そうですね。すごく小さな枠ですね。
本当はその枠から飛び出したいのに、いつも枠の中でもがいています。」

父親の会社に入った時から、いつの間にか自分で枠を作っていたとのこと。
その枠を懸命に守ってきたそうです。
なので、少しでも人が自分の枠に入ってきたり枠を壊そうとすると
閉じこもったり反発したりしていました。

「でも、同時にその枠の中にいると楽なのです。だからいつも戻るんです。」

この質問は他のクライアントさんにも時々するのですが、
みなさん自分の枠に納得していなくても、同時にその枠が楽だという気持ちもあるのです。

誰もが自分の枠を持っていて、
枠の中にいるのが楽ということもあり、なかなか枠を変えるのは難しいのです。
まず、自分の枠がどういうものか気づいていない人も多いのです。

まず、次のセッションまで枠について意識してみることになりました。

次のセッションのとき、いかに自分が枠にとらわれているかよく分かったそうです。
自信がないときには特にその枠から出ようとしないということも気づきました。

でも同時に少しだけその枠から出てみたそうです。
Aさんにとっては、とても勇気がいることでしたが、思い切ってはじめて伝えてみたのです。
それを語ってくださるAさんの表情は、これまでになくイキイキとしていました。

そうなのです。
人は自分の枠に気づくと、自分の枠を突き抜けたいという思いが芽生えるのです。

今Aさんは、もっと自由に自分らしく経営することを目標に
枠を意識しながらチャレンジされています。
今でもつい枠にこだわる自分がいるそうですが、それをあえて広げてみるのです。

みなさんにはどんな枠がありますか?

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